Pre-sessionalコースについて
Pre-sessionalコースとはいわゆる論文の書き方を学ぶ語学コースです。
Pre-sessionalは条件付き合格というPersonal Statementや推薦状などIELTS以外の必要書類をそろえて出願し、合格をもらった状態で、その英語のスコアを満たすために現地のPre-sessionalコースに一定期間通い、その期間でのテストに合格すれば、足りないスコアを満たしたとされ、IELTSスコアの提出は免除されます。
イギリスでの生活に予め慣れておきたい方や、英語力に自信がない方などは同じアジアから来ている学生がほとんどなので友達もできやすく親しみやすいですし、英語の練習には最適だと思います。ただ、このコースは英語の勉強ではなく英語で論文の書き方を学習することなので本質を見失わないようにしたいところです。
資金に余裕のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
できればIELTSのスコアを満たしてから留学すれば金銭的には負担がかからないので楽なのですが、個人的には参加してよかったと感じております。
学習内容
アカデミックライティングを基礎としたエッセイ・レポートの書き方、引用の仕方、参考文献の書き方、不正行為(plagiarism)などをディスカッションやグループワーク、プレゼンテーションなどを通して学習していきます。
同時に、これらの内容を正規課程で必要になると考えられるディスカッションスキルやグループワークなどを通して学習し、アカデミックな論文や記事に対しての批判的思考や論理的思考を磨く事が出来ます。
日本で論文を書いたことがある方は既にご存じかと思いますが、基本的には構成や書き方などは日本語も英語も一緒で
Abstruction → Introduction → Method → Results → Discussion → Conclusion → Reference
といった形で進んでいきます。
また、文系はエッセイ、理系はレポートというような形で、大まかにいえば大学で皆さんが書いたであろう物の英語版といったところでしょうか。
専攻によって異なるのですが英語で論文を書く際は書式がいくつかあり、
APA
Chicago
Harvard
IEEE
MHRA
MLA
OSCOLA
Vancouver
などが挙げられます。
Pre-sessionalではこれらの論文の構成要素について細かく学んでいき、最終的にはこのコースで短めのエッセイが課されます。文字数はそれぞれの大学のコースによって異なるかもしれませんが、私のコースでは1500文字+-10%の指定がありました。
このレポートで、Writingセクションの点数が決まるのですが、完全に自分の力で一から仕上げていくのではなく、学校の授業や、先生と面談を通して疑問点や分からないことなどを質問して、アドバイスを受けながら進めていくので困ったらとりあえず担当の先生に聞いてみるのが手っ取り早いと思います。
先生方との距離も近いので授業後はもちろん、メールで面談をしたいと伝えれば時間を作ってくれるかもしれません。他にも授業の一環として進捗状況の確認があり、全生徒が先生と個別に面談する時間が設けられています。
期間
5,10,15,20週間のコースがあります。Pre-sessionalコースに入学するにもIELTSのスコアが必要なのですが、通常のIELTSとは違いIELTS for UKVIという試験内容は同じなのですが名前の異なる試験を受け、入学条件を満たす必要があります。
要求スコアはどの専攻でも共通ですが、その進学する過程のコースで要求される英語スコアによって異なります。
・5週間
5週間のPre-sessionalコースはUnconditional Offer保持者用のコースです。
・10週間
左のスコアが正規課程の要求スコアで右側のスコアがPre-sessionalコースの要求スコアです。各セクションにも基準があるので注意してください。
Course IELTS requirement(コースの要求スコア) Your current IELTS score(現在の英語スコア)
IELTS 7.0:IELTS 6.5 with 5.5 in each skill
IELTS 6.5:IELTS 6.0 with 5.5 in each skill
IELTS 6.0:IELTS 5.5 with 5.0 in each skill
10-week Pre-sessional for postgraduate Language Teaching(言語)
IELTS 7.0:IELTS 6.5 with 5.5 in each skill
10-week Pre-Sessional for York Management School postgraduate taught courses(マネジメント)
IELTS 6.5:IELTS 6.0 with 6.0 in writing and 5.5 in all other skills
・15週間
IELTS 7.0:IELTS 6.0 with 5.5 in each skill
IELTS 6.5:IELTS 5.5 with 5.5 in each skill
IELTS 6.0:IELTS 5.0 with 5.0 in each skill
15-week Pre-sessional for postgraduate Language Teaching
IELTS 7.0:IELTS 6.0 with 5.5 in each skill
15-week Pre-Sessional for York Management School postgraduate taught courses
IELTS 6.5:IELTS 5.5 with 6.0 in writing and 5.0 in all other skills
・20週間
IELTS 7.0:IELTS 6.0 with 5.0 in each skill
IELTS 6.5:IELTS 5.5 with 5.0 in each skill
IELTS 6.0:IELTS 5.0 with 4.5 in each skill
20-week Pre-sessional for postgraduate Language Teaching
IELTS 7.0:IELTS 6.0 with 5.0 in each skill
20-week Pre-Sessional for York Management School postgraduate taught courses
IELTS 6.5:IELTS 5.5 with 5.5 in writing and 5.0 in all other skills
となっています。
10週間が最も生徒の参加する数が多く大体600人程、割合は9割中国人、その他1割はタイ、サウジアラビアなどの中東諸国、日本などです。
中国に留学しているのかと思ったくらい中国人が多いです、授業中も彼らは中国語をバンバン使いますが授業への積極的な参加は日本人も見習うべきであり、自分の体感的には自分より英語が上手な学生がほとんどでした。
中には授業中に先生の話を聞かず関係のないことばかりしていて、なぜ留学しているのだろうと不思議に思うくらい不真面目な生徒もいて、そのような学生とグループワークなどをしなければならない場合は非常に負荷が大きくなりますが、課題自体そんなに難しいものではないので、一人でやろうと思えばこなせてしまいます。ですが正規課程進学前の良い練習になると思うのでどんな生徒でも積極的に議論に参加し、グループメンバーとしての役割を果たし、時にはグループをリードすることも重要だと思います。
試験内容
私の大学のPre-sessionalコースではコースの終わりに特別大きな試験があるわけではなく、IELTSみたいな試験でもないです。
Reading
リーディングは専攻であるサイエンス(文系の場合はアート)に関するある記事を読み、それに対して要約、批評をそれぞれ400字程度で書き上げます。
要約はすべてのキーポイントを押さえ、元の文章をうまくパラフレーズ、言い換えることが重要です。細かすぎる情報は文を冗長させるので筆者の主張と目的を的確にとらえることが高得点のカギです。
これをListeningと隔週で行いますが1週間ほど時間はあるのでじっくり記事を読めますし、理解を深め、思考が必要な批評に時間を割く事が出来ます。
1つ提出するごとに先生方のコメントやアドバイスがついた課題が返却されるので次回に活かすことができます。
この課題を全部で3回行い、それがリーディングの最終評価になります。評価はIELTSと似ていて90点満点で5点刻みです。
Listening
リスニングはリーディングとほぼ同じで、こちらは15分ほどのTEDの講義を基に要約、批評を行います。
こちらも何回でも視聴できるので集中して課題に取り組む事が出来ます。
Writing
ライティングはPre-sessionalコースの初めにいくつかテーマが与えられ、その中から自分の好きな物を選び書き上げていくという形になっています。
学習内容でも述べたことに加え、エッセイでは文献の数が自分のアイデアを確かなものにするので大事なポイントだと思います(自分が書いたものはレポートなので何とも言えません…)。
レポートでは調べたいと思ったことに対して仮説を立て、アンケートや観察などを行いデータを取り、それを分析し、仮設への答えを出し、それを様々な観点から分析を行い最終的な結論を出すという流れです。
Speaking
スピーキングは一発勝負で、ライティングで書いたエッセイまたはレポートの要点を5分にまとめてコースの終わりにプレゼンテーションを行います。さらに2分程、質疑応答の時間もあるので、評価する先生方から受ける質問に答えなければなりません。
費用
5,10,15,20週間のコースの費用についてはいずれの通りです。変わる可能性もあるので希望する大学のコースについてよく下調べをしておきましょう。
5週間:£1,960
10週間:£3,920
15週間:£5,880
20週間:£7,840
非常に高額なので受けようと考えている、受けなければならない場合はお財布と良く相談しましょう。
寮
学内の寮もしくは学外の寮に住むことができる。
自分はConstantine Collegeの寮に住んでいました。
基本的には住む事が出来る寮は正規課程の寮と同じですが、
寮についての詳細はヨーク大学(施設編)に記載してありますのでご覧ください。
結果
結果はPre-sessional終了後、数日たった後オンラインで確認することができます。
感想
メリット
・英語で論文の書き方を詳しく学ぶことができる。
Pre-sessionalは言ってしまえば英語ができない学生向けのコースなので、先生方は親切丁寧に教えてくれますし、分かりやすく優しく話してくれて、授業についていけないみたいなことはありませんでした。
授業も基本的には毎日ありますが、午前中で終わるので自主学習や課題などはそつなくこなすことが可能で、自分の時間を有意義に使えると思います。
周りの生徒も同じ状況なので自分がわからないことはみんなわからないので良い緊張感で授業を受けることができたと個人的には思っています。
なのでわからないことはわからないまま過ぎることはなく、基本的なことは確実に身に着けられると思います。
・同じアジア圏の学生が多いのですぐに友達ができ親しくなりやすい
特に中国から来る学生が多いのですが、彼らの国民性からして団結力がとても強く気軽に話しかけてくれますし、遊びや食事などもかなり誘ってくれます。
さらに彼らはほぼ全員と言っていいほど日本の文化や食べ物、特に漫画やアニメがとても好きで初めて会った時の話題は必ずアニメや漫画の話になるほどです。
他には友達が日本に留学しているとか、日本の友達がいるなど地理的にも近い位置にあるので英語に関して不安な方はアジア圏の方と親しくなることが英語上達の近道であると思います。
・正規課程をある程度余裕をもって始められる
各施設やキャンパス、銀行口座開設など留学して授業以外で直面する困難をある程度緩和できるので、いざ忙しい日々が始まっても授業に集中することができます。
デメリット
・費用がかかる(コース費・寮費)
正規課程の学費と同様Pre-sessionalコースの学費もとても高額です。イギリスの教育は留学生の学費によって賄われているともいえるのではないでしょうか…
寮費も同様に払わなければなりませんが、正規課程の学生はholiday休暇中で基本的にキャンパスにいないので静かで過ごしやすいです。
・Pre-sessionalコースの期間によってはビザの延長が必要
正規課程に進めるかはPre-sessional入学時点では決まっていないので、コースを無事終了し、パスした際にはVISAの延長が必要です。
資金証明やらなんやらでただでさえ大変なのに現地で延長するという手間がかかるので日本国内と連絡を取らなけれなばらない場合もあるのではっきり言って面倒です。
VISAに関してもイギリス現地でのビザ更新に関する情報が少なかったので後々更新したいと思います。
私の場合は学校のサポートが充実していたのでほぼ学校が手続してくれました。
・インターナショナルに欠ける
先ほども述べたように生徒のほとんどは中国人です。しかし、コースにパスすることが目的なので様々な国の人と関わりたいと思っている方は少しもどかしい気持ちになるかもしれません。
以上、ヨーク大学のPre-sessionalコースについてでした!
大学によって学習内容も費用も試験内容も異なる場合もあれば同じ点もあるかと思いますが、どの大学に行ったとしても正規課程に進学するという目的は変わらないので参考になれば幸いです。